民事調停をやる

民事調停(みんじちょうてい)

さて、調停とは
双方の話し合いで解決を図る手続きです

その話し合いは
裁判所で行われるので、その分、
多少の面倒なことや利点があります

似たような手続きに
民間で行われるADR手続きというものが
ありますが
こちらは、裁判所とは関係ないので
話し合いも裁判所では行われません。

 

ADRとの違い

 

裁判所の調停と
民間ADR手続きとで一番異なるのは

その合意に法的強制力があるかどうかです

法的強制力とは、いやがる人に
無理やり言うことをきかせる
ということです

 

ADRだと
同じように合意がなされたとしても
そこには法的な強制力が働かないので

約束したとしても当事者がそれを
実行してくれないときは
残念ですが
どうすることもできないことになります

 

一方、裁判所の調停は
当事者が合意に反したときは
その調停には強制力があるので

財産や給料を差押えをするなど
強制執行をすることができます

実際には、調停が成立すると
調停調書が作成されるので
それにしたがって
強制執行することになります 

 

裁判との違い

 

調停は
ドラマで見かけるような法廷ではなく
調停室という、おそらくどちらかというと
小ぶりな手ごろなサイズの部屋で
非公開でされるものです

 

通常の裁判は
公開法廷で行われるので

見たい人は原則として見学自由です
定員があるので早い者勝ちです。
人気の裁判だと
整理券が発行されるなどして
時々ニュースになります

調停は非公開なので当事者以外は
その部屋に立ち入ることはできません。

配偶者だから一緒でないと!とか
一人で動けないので付き添いの人が必要!
などでもダメです
裁判官から許可を得ることができれば
入室することは可能です。そのときでも
発言することはできません
当事者ではないので

 

調停はギャラリーがいないので
(非公開なので)
他人の目を気にする必要がありません。

守秘義務を負った調停委員との間で
言いたいことを言いたいように
口にすることができます。

おそらくそのような
非公開であるが故の
開放性のようなものが
調停合意というか話し合いの熟成に際して
かなり効いてくるのではないでしょうか

また、結果についても大きく違います

裁判官に判断をゆだねる
(裁判官が判決を出す)裁判

当事者で話し合って解決できる
(とは限らないにしても)調停

全然別物です。

裁判官は申し立てられた事実によってしか
判断することができません。

細かい事情(があったとして)は
当事者が表明しない限り
判断の基礎とすることができません。

しかし、一方、調停であれば、
話し合っている間に、
忘れていた特殊な事情を思い出したり
異次元の解決方法を思いつくこともあります
(思いつかないこともあります)

 

 

 

家事調停との違い

 

調停手続きは
家事調停と民事調停とに大きく分かれますが

ざっくり言うと、

家事調停でないものが
民事調停ということになります

 

家事調停

家庭内のことについての争いを
解決する手続きです。

つまり

親子関係
相続関係
夫婦関係等を扱います

さらに具体的に言うなら

  • 離婚調停
  • 遺産分割調停
  • 養育費請求、認知、
  • 夫婦関係調整
    等々です
民事調停

なので、これら以外のたとえば

  • 貸金請求
  • 家賃請求
  • 売買代金請求
  • 交通事故等が
    民事調停で扱われることになります

 

 

民事調停手続き

 

・申立て

民事調停は
相手方の住所地の
簡易裁判所に申し立てて行います

地方裁判所に申し立てることも可能です

・費用

かかる費用は

申立の時に納付する
・印紙
・予納郵券
(当事者へ郵送する際に必要と思われる額の切手)
だけです

印紙
請求する金額によって異なりますが
例えば100万円を請求するとしたら
印紙は5、000円です

予納郵券(切手)
組み合わせで納める必要があって

たとえば、2500円分の切手といっても
84円切手が20枚、20円切手が5枚
とかというように細かく指定されていて
さらに、裁判所によって
金額や組み合わせ方が異なるので
非常に非常に面倒ではありますが
しかたないので、要注意です

 

また、今のところ
印紙代、切手代などとして
現金等で納付することはできないので
あくまでも現物(紙の印紙・切手)を
用意する必要があります

ただし、
他の書類等については、裁判では
登記などと違って
追完(ついかん)がかなり緩やかに
認められています

書類に不足があれば後日でも大丈夫
という扱いがけっこうあります

・弁護士

また
もしも弁護士を付けるとしたら
その分の費用が当然かかります

念のためですが

調停調書には、ほとんどの場合
調停費用は各自が負担するというような
条項があります。
この調停費用というのは印紙代や切手代
のことです。この中には
弁護士費用は入りません
(いずれにしても各自負担であれば関係ないですが)

・期日

で、
期日
(調停期日・・・・当事者と調停委員等が
参集して話し合いをする日)
が決められたら

その日に双方集まって
調停委員を介して
話し合うことになります

 

なにより民事調停が特徴的なのは
期日の回数です

家事調停だと
10回20回と期日が重ねられることも
稀ではありませんが
つまり、1年2年で終わらないこともある

民事調停では、2,3回で終わるのが
普通です

調停が成立するとばかりは限りませんが
合意に達することができないとしても
その判断はかなり早めの段階で
速やかに行われることになります

ほとんどが金銭上の請求なので
結論を出すのに時間はかからないわけです

 

最後に

 

裁判をやって黒白つけたいところだが
それをしてしまうと
人間関係が悪くなるのではないのか

しかし、
やはり納得できないまま放置されるのは
絶対に嫌だ。

とお思いの方。

民事調停は、裁判に比べると
いろいろな意味で
ハードルが低いです

 

裁判で、原告・被告で争った当事者は
そのあといきなり仲良く、というわけには
いかないでしょう

何しろ敵味方に分かれて
戦ったわけですから。

片や
調停においては
単なる申立人と相手方に過ぎません。

そうした関係で話し合った当事者は
特に関係が悪くなることはなさそうです。
敵でも味方でもありません。

互いの主張について、解決のため
話し合いの場をもった、というに
過ぎません。
ただ、もしかするとその解決の態様によっては
少々ぎごちなさは残るかもですが
それはまあしかたないことです。

 

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