生前の売買。なんと登記が済んでない

生前の売買。
なんと未だ登記はしてない。

 

 

  1. 土地の売買契約
  2. 引き渡し
  3. 残金支払い
    これで一件落着!

 

と、安心してしまうことがあります。

ある意味安心するのは当たり前なのですが。

 

しかし、実はこれ、大問題です。

 

後日問題が生じる可能性99%あります

 

 

売主が登記しないうちに、亡くなってしまった

 

Q. 登記をしないうちに売り主(男55歳)が死亡してしまいました。
登記はしなくて大丈夫と言われたのでそのままにしていましたが
今から売買の登記ができますか(買主・30歳)

 

というお尋ねがあります。

 

A. もちろん、できます。

ただし、という条件付きですが。

 

 

どういう事情で登記はしなくて大丈夫と思われたのかわかりませんが、

単に知らなかっただけなのか或いは
登記をしたくない事情がおありだったのかもしれません。

 

ですが、どう考えても
登記は必要です。

 

  1. 土地を売買した
  2. お金も支払った
  3. 双方万々歳

 

だったはずなのですが。

 

そもそも売買の登記とは

 

通常の売買の登記は、
司法書士が売主(所有権者)及び買主から
次の書類を預かって
登記所(法務局)に提出することによって行います

 

売主側の用意する書類

 

  1. 権利証(登記識別情報通知)
  2. 印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)
  3. 登記原因証明情報(売買契約書など)
  4. 司法書士への登記委任状

 

最低でもこれだけ必要です。

事情によってはさらに必要な書類があります

 

念の為、買主側は

 

買主側の用意する書類

 

  • 住民票
  • 司法書士への委任状

 

 

売主が死亡するとどうなるのか

 

さて、売り主が死亡してしまうと、

(死亡前に書類等の準備等一切が終わっていて申請前に急死した場合は、そのまま登記ができます。大丈夫です。 不動産登記法第17条・代理権の不消滅)

 

亡くなった人は

印鑑証明書・登記原因証明情報・委任状
を揃えることができません。

 

権利証は紛失しない限り準備できると
思いますが
亡くなった売主に代わって実印を押し
印鑑証明書を取得する
が必要になります

 


必要なのは亡くなった人の実印や印鑑証明書ではありません


 

その人とは、

売主の法定相続人全員です。

 

言うまでもないことですが、たまたま3ヶ月以内の印鑑証明書があったからラッキーと思い、本人が死亡してしまったあとに代わりの第三者が委任状等を本人名義で作成することは、偽造であり、違法です。

 

売主の法定相続人から書類を預かる

 

さて、売主の法定相続人全員というのが、この売買の事情をご存知のたとえば妻子だけだったりすれば、それほど複雑なことにはならないと思います。

 

ところが、

  • 事情を知ってる相続人が誰もいないとか
  • 相続権者が兄弟だけとか。さらに、
  • 兄弟のうち1人は亡くなっていて子は行方不明!

 

などとなったら、
事情を説明したからと言って
すぐに快く書類を預けてもらえるかどうかは
全くの未知数です。

 

売買の証拠はあるのか

 

法定相続人のところに事情を説明しに行った時にまず、売買契約書を見せてほしい、と言われると思います

 

何月何日にどこの土地をいくらで誰から誰が買ったというようなものです。

 

さらに、それに伴って金銭の授受があったことを証明するために、売主からもらった買主あての領収書が必要です

 

なぜなら、売買契約を交わしたからといってそのまま契約内容が実行されるとは限らないからです。

残金の決済に至らずに契約解除されたりしていわゆる契約が流れることも、あります。

 

契約が履行されて(不動産の場合は引き渡しなど)残金が決済されて所有権が移転すると通常は、登記上の名義も変更されるのですが

 

ですが、

未登記ということなので、少なくとも、契約の履行がされて残金の支払いが完了している、ことを証明する必要があります。

 

仲介業者が入っている場合は、売買契約書と領収書は必ず作成していると思います。

ですが、仲介を通さずに直接売主買主で契約をした場合は、作成していないことがままあります。

仲介業者がいれば、登記をしないことの危険性をわかっているので、未登記ということは考えられません。

 

せめて、領収書に土地の所在番地がしっかり書かれてあって、売買代金もそれが残金全額だということがわかるように書いてあれば、契約書がなくてもなんとかなるかもしれません。

 

せっかく領収書があったとしても、何のお金なのかわからないと証拠としては弱いです。

 

 

実は、何も、ない

 

売主の言うがままに土地を買い、代金全額を支払い
「これで所有権が移った。」
と言われた。

 

「登記はしなくて大丈夫、あれは、司法書士を儲けさせるだけで本当はやらなくていいことだから。」
などというセリフを真に受けて、さらに

「なまじ作ると税金がくるから」
と言われて、売買契約書も作らなかった。という人がいます。

 

そして領収書は、もらったはずだが見当たらないそうです。

 

こうなったら、裁判をしても、微妙なのではないでしょうか。

 

ですが、裁判をするまでもなく法定相続人全員の協力が得られれば

名義を変える登記はできます。

 

法定相続人全員に用意してもらうもの

 

法定相続人は、亡くなった売主の代わりに次の書類を用意します

 

あくまで、売主は、亡くなった被相続人です。

生前に売買したため、
法定相続人全員が売主にかわって
登記手続きのみを履行する

というイメージです

 

  • 法定相続権を証する戸籍
  • 売主の死亡事項ある戸籍
  • 法定相続人全員の印鑑証明書
    (3ヶ月以内)
  • 同じく全員の登記原因証明情報
  • 同じく全員の登記用委任状

 

 

登記簿にはこんな感じで

 そして運良く法定相続人たち全員の協力が得られて登記が完了すると

ある意味、少し興味深い感じで登記が実行されています

 

  1. 5年前に売買(未登記)
  2. 売主 1年前に死亡。
  3. 平成30年12月3日付で登記を申請

 

の場合

 

登記簿には次のように記載されます


平成30年12月3日受付〇〇号

所有権移転

原因 平成25年5月5日売買

買主 住所 〇〇番地 片山りえ


 

前の所有者だった亡くなった人から

直接、買主の名前に登記がされます

 

なので、登記簿を見る限り、

以前の所有者が亡くなったとか、その法定相続人から登記がされたのね、というようなことはわかりません。

 


 

もしも何かの事情で、

売買または贈与などをして所有権を移転したにも関わらずその登記が未了だとしたら、お早めに登記をなさることをおすすめします

 

いつ何があるかわかりませんし、
法定相続人がいつでも協力してくれるとは限りません。

 

もう手遅れかも、とお思いの方は
ぜひ一度ご相談ください。