生前の相続放棄は?

Q. 生前に相続放棄はできますか

A. あいにくですが、できません。

 

相続放棄はどのように

 

1 家庭裁判所に対して、

2 被相続人の死亡後3ヶ月以内に(原則)

3 申述する

ことによってなされます

 

なので、被相続人がご健在なうちに、
早めにさっぱりしたいという理由で
(他に合理的理由があったにしろ)
放棄をしておくということはできません。

家を出たために、他の兄弟から、
「生前に放棄をしてくれ」と頼まれた、
というご相談を受けたことがあります。

当事者の方たちの気持ちは
わからないわけではないですが。

できません。

 

相続放棄は、被相続人が亡くなってから
3ヶ月以内(原則)、いう法律があります。

 

生前に放棄ができるとしたら

 

仮に、生前に放棄できるということになったとしても、
多くの場合、人は、死期がわかりません。

なので

生前の放棄をしてしまってから、
10年あるいは、20年、その方が命をつないでいた場合、
相続人の側の事情もすっかり
変わっているのではないでしょうか。

 

  • 病気をして働けなくなった(だから、財産がほしい)
  • ひとやまあてて、すごいお金持ちになった(だから、サラ金でもなんでも、支払ってあげられる)
  • 他の兄弟が全員亡くなってしまったので、自分が継がなければ家が絶えてしまう

など。

 

だから、法律では、生前の放棄を認めてないのだと思います。

 

念書を書くのはどうなのか

 

また、

「亡くなったら、必ず放棄します」
という念書を書いておいても無効です。

たぶんこの念書は、公序良俗に反するからだと思います(私見です)

遺留分の放棄はできる

 

ただし、遺留分の放棄は生前にもできます。(民法1043条)

この場合は家庭裁判所への申述では足らず、許可が必要になります。

 

被相続人の兄弟については。

 

兄弟には、遺留分がないため、
放棄は生前にしておくことはできない
のはもちろんのこと、
遺留分の放棄もできません。(その必要がないからです)

相続人がご兄弟だけ、というときは、
遺言書に書きさえすれば、
ご自分の財産を100%、好きなように
好きな人に遺すことができる、
ということでもあります。