誓約書・念書の法的効果?

誓約書・念書の法的効果

 

何度約束しても守ってもらえないので、
今度は行政書士に頼んで
誓約書を作ってもらおう。

念のため、

実印を押して印鑑証明書もつけてもらう

そしたらこれでもう、大丈夫。
困ったことは起こらない。

 

と思ったとしたら、危ないかもです
安心するのは、
早すぎるかもしれません。

 

誓約書・念書とは何?

 

誓約書・念書・確約書・合意書等
いろいろタイトルはありますが、要は

「これを固く約束します」とか
「絶対、守ります」

という内容のものです

 

たとえば、

  • もう浮気はしません
  • 毎月必ず3万円ずつ返します
  • ギャンブルは二度としません
  • 消費者金融からは借金をしません
  • 今度これをしたら離婚されてもいいです

など。

 

約束したからと言って、たとえそれがその時の真実の気持ちであってさらに書面でなされたものであったとしても人間、簡単に守れるものではないです。

おそらく、守れない過去があったから、そのような書面を作ろうという発想に至ったかと思われますが、そもそもそういう人(何度も約束を守れなかった人)が書面を作ったからと言って、今まで守れなかった約束を守れるものなのでしょうか

誓約書・念書は、すでに何かの不始末(!)が発生していてそれの贖罪のために書く(書かされる)ことが多いのではないかと思います。

多くの場合は、その書面作成と同時に
いくらかの赦しは与えられるでしょうし、
いくらかの心の平安がもたらされるかもしれません。

が、

おそらく、それだけです。

 

 

 

契約書の補完(ほかん)として合意書や確認書が作成されることもありますが、そのようなものはここでは除きます
それらは、契約書に書ききれなかったときや変更箇所があるときなどに、再度契約書を作成する煩雑さを避けるために追加訂正部分のみをこのような書名で作成するものであって、いわば、契約書等に準じたものです

 

有効な文書とは

 

資格者によって作成された書面であれば、
それなりの法的効果が見込めるので、
作ってほしい、というご依頼があります

資格者。。。。

この場合、
司法書士とか行政書士・弁護士ということだと思いますが

いかにも資格のある専門職が作成した文書であれば、
何かご利益というか、費用をかけて作成してもらっているわけではあるし、何かしら大層な効能を見込むのは人情でしょう。

ですが、

実は、

 

 

誰が作っても、同じです

文書としての体裁が整っていさえすれば
それは有効な文書となり得ます

 

ただ、素人同士で作成したものよりも、
弁護士・行政書士等の職印の押された文書だと、こうした法律的な手続きに不慣れな場合は、法定の手続きになるのかなと頭から信じ込んでしまうかもしれないです。

さらに、

これを守らないと手が後ろに回ることになる等の脅し文句付きだったりしたら、けっこう効果(!)はあるかもですが。
それは、この情報化時代、ネットでちょっと調べればわかってしまうことではあります。

調べればわかること、とは言っても、現実問題としてネット環境のない人もいるでしょうし、環境が整っていても調査するスキルがないとどうにもならないかもしれません。この場合だと、いわゆる悪用されることもあります。

 

法的効果とは?

 

文書の性質によって異なりますが、要は、

  • 当事者の記載をし、
  • 作成日付を記入し、
  • 約束した内容等を具体的に
  • 当事者の意思に基づいて記載してあれば

基本、法的にも有効です

当事者間において、そのような約束がなされた、ということを証明できます(証拠能力を認めてもらえるどうかは、また別の問題)

 

ですがそれは、
将来、裁判にでもなったときに、
有利な証拠として採用されるかもしれないということに過ぎません。

 

逆に言えば、裁判にならない限り、特に
その効果があるものではありません。

もちろん、当事者間の約束としては有効です

 

そしてこれは特に資格のない普通の人が作っても
弁護士、司法書士が作っても
効果は全く同じです
ただしその内容は作成者によって巧拙はあります

 

おそらく法的効果という言葉を使って
それを求める人は、

 

1 それさえあれば、
絶対に約束が守ってもらえる

または

2 守らなければ
罰金とか警察からの働きかけなどの、
無理に守らせる法的効果があるに違いない

或は

3 守らなければ
裁判所から、特別な命令のようなもの、
または、助言がもらえたりする

という効果をお望みなのだと思います

 

実際にそうだったらどんなに素晴らしいことか!!

 

しかし、実際は違います

 

裁判(訴訟)にもならずに当事者間で話が
終わっている場合は、それは単に、
約束が書かれた私文書(しぶんしょ)に過ぎません。

 

 

もしも、作成した文書に法的効果がほしいのであれば、

法的効果が欲しい

 

一番手っ取り早いのは、

公証役場で公正証書を作成してもらうことです。

特に、金銭の貸借の場合は、卓効があります

たとえば、

今年の年末までに全額を返済できなければ
自分の財産に強制執行されてもいいです

といういわゆる
強制執行(きょうせいしっこう)認諾約款
(にんだくやっかん)
という条項を記載することによって、約束のお金を返してもらえないときには強制執行をすることが可能となります

この公正証書をつくっておけば、いちいち裁判を起こす必要がありません。

 

ですが、これにも弱点があって
無い袖は振れないという法則があります

 

つまり、強制執行すべき財産というのは

預貯金、不動産、給料などだと思いますが

それらがなければ(存在しなければ)
執行のしようがありません。

いわば絵に描いた餅!

 

法的効果というものを、

返してもらえないときは国が保証してくれる
と誤解している人がたまにいますが、
そんなことはありません。


裁判所が払ってくれる、という勘違いも
耳にしたことがありますが、同様に、
幻想です

そうだったらどんなに世の中簡単か、と思いますが。

 

まとめ

 

それでも誓約書・念書等の作成をお望みの方は行政書士がお作りします

司法書士は裁判所や登記所に提出する以外の書類を作成することは原則としてできません。

 

やっぱり大事なことだから
きちんとした文書で残したい
とお思いの方は
お気軽にご相談ください