調停とADRの違い

調停とADRの違い

 

調停もADR(エー・ディー・アール)
裁判外紛争解決・代替的紛争解決いわゆる民間調停
も、基本的に
申立人と相手方と調停委員(調停員)が
三者で話合うということについては同じです

注意:ここでは、
本来ADRに含まれる仲裁(ちゅうさい)判断手続きについては除外します 
仲裁は裁判のように、強制力のある手続きです

 

基本的には、どちらも、
申立人が
裁判所あるいはADR機関に
解決したいことについて
そこを何とかどうにかしてほしいと
申し立てて、
そこから話し合いが進行します

 

外形的な違い

家事調停

 

・裁判所の手続きです

・申立は裁判所に対して行います

・原則としては、
まず申立人と調停委員が話し合い、

次に相手方と調停委員が話し合い、
という感じで

交互に話し合いを進めます

三者で同じ席で話し合うということは
一般的ではありません

調停前の説明や、
調停が成立したときの調停内容の文言確認のときに三者が同席しますが
特に仲がこじれた関係だと、これさえも別々に行われることがあります

・何度かの話し合いを経て調停が成立したら
(お互いに納得できる解決ができたということ)
調停調書が作成されて、これは、
裁判の判決と同一の効力をもちます

当時者間で合意がなされれば、
どのような取り決めも有効です
(公序良俗違反で無い限り)
強制力があるので強制執行もできますが
調停内容に従わないからという理由で罰則を課することはできません。

・面会交流に応じないときは面会するまで
養育費を減額するとか、そのような
理不尽な非人道的な取り決めは許されません

 

ADR

・民間の手続きです

・民間のADR機関に対して申立をします

・現在のところ全国でかなりの数のADR機関がありますが、
国の認証をうけたADR機関であれば、
単なる民間調停のイメージを超えて次のような利点があります

認証ADR機関で調停をすると、時効完成猶予効果があります民法147条

調停前置主義の場合も、裁判調停の代わりにADR機関での調停が調停として認められます

・状況にもよりますが、基本は、
申込人と調停員と相手方三者が同席して
話し合いがもたれます

ここが、裁判所での調停と大きく異なることです

・話し合いがまとまれば、
調書的なもの、覚書、確認書等は作成されることになりますが、
裁判所の調停と異なり、
法的強制力はありません。あくまで、
当事者間の努力目標という位置づけです

 

実際の話し合いスタイルの違い

・家事調停においては、
非公式な法廷という感じがあります

・やりとりは、常に裁判官が立ち会うわけではないので、裁判に比べればかなりカジュアルなものです。
テーブルを挟んで2名の調停委員と申立人
または、相手方が向き合います。

・カジュアルではありますが、
しかし調停委員は常に家事裁判官の意向を
確認してというか毎回進行について打ち合わせをする結果、
どうしても裁判所寄りの解決を提案することになりがちなようです。

忖度、というわけではないですが。
やはり、
前例を踏まえて。とか、
先判例がこうだから、とか。
算定表によれば、など。

良くも悪くも、結局は
裁判所の手続き(裁判の延長というか、その下部組織)だという限界はあるのかなと思います

 

・もちろん、
当事者の意向が最重要なものなので
調停委員会が養育費を算定表によって7万円が妥当だと提案しても
当事者がいいやここはどうしても30万円で決めたいというのであれば
もちろんそれに委員会として反対することはないと思われます
公序良俗に反しない限りは、
当事者の出した結論が最も大事だからです。

・言うまでもないことですが、
調停は話し合いをする場です。

しかし、当事者間でどうしても話し合いが
まとまらなければ、調停委員会としては、
何らかの提案をするであろうし、
その提案の中身は、
どうしても前例を踏まえたものになってしまう、ということです

 

・ADRについては、民間のADR機関によって運営されるものなので、その機関によって大なり小なり差異はあります。
何度か受けた研修の感じでは、
うまくいったときは、これこそ理想の調停という感じ。
うまく行かないときは出席を後悔するレベル

調停前よりも状況が悪化して終わります。
裁判所での調停もうまくいかないときは同様ですが

・申立人(申込人というのが正式の呼び方)
と相手方と調停員が同席するのが基本です。
これは、裁判所の調停が原則別々に行われることを考えると、画期的に相違する箇所かと思います。

・テーブルに調停員のアレンジによって
申込人と相手方と調停員が座り、
双方の言い分を調停員の采配で順番に聞いていきます

・このような感じです

申込人の主張を
「、、、」ということでよろしいですか?と確認し、

相手方に向かって、
「申込人は、、、というように言っています いかがですか」と相手方に説明や意見の陳述を求めます。

・交互に、というのが基本ですが、
犯してはいけないルールは、
相手が話している時にそれをさえぎってはならない、ということです。

それを守ってもらうだけで、
話し合いは大きく進むことが多いです

 

で、どうなのか。

どちらにも当事者となって参加したことがないので、あくまで、外側から見た感想ですが

裁判しても当たり障りのない判決しかもらえないのでは?というときは調停を選択。
この方が非公開ではあるし、
代理人(弁護士)を立てない限り費用もさほどかかりません。
そして、成立すれば調停調書がでるわけです。
(判決と同様の効果がある)

遺産分割とか、養育費とか、
おそらくこうなるだろう、という結果が
見えているときは、こちらがよいかな。と。

 

しかし、離婚とか、
どういう結果がよいのか自分でも迷っていて
相手との充分な話し合いを持ちたい、
と思う案件であれば、
ADRに持ち込みたいと思うものです。

調停員のリード次第では、
うまくいけば化学変化が起こる場です。
AとBを足したら、Cになるのではなく
そこで行われる演算は、
予測不能です。

おそらく、未だ、
話し合いの俎上にのったことのない隠し玉を
双方とも持っています。

そうだとは知らずに。

そしてその隠し玉が問題の要(かなめ)
だったりするのですが、当事者は気がついてはいません。

客観的な立場である調停員はそこに気が付きやすい立場ではありますが、
当事者の思いによって引き起こされる化学反応を最初から想定することは不可能です。

うまくいけば、考えても見なかった双方にとっての花が開きます。

失敗すれば、隠し玉どころか不発弾に手を触れたことによって自爆しかねません。

結局は、運なのか

 

調停もADRも調停委員または調停員が間に
入るわけですが、
どういう人が調停をするかによって、
特にADRは結果に大きな差が生じます

単純に百戦錬磨のAさんと、
3ヶ月前に就任したBさんでは、
できることが違うわけです。

かといって、Aさんが素晴らしい結果を出し
Bさんが残念な結果しかだせないということでもありません。

ここが、人生の面白いところです。

 

経験があってもなくても、
化学反応は起こりえます。

化学反応を起こすのは当事者ではありますが
その引き金をひくのは、
神さまかもしれません。

経験豊かなAさんの傾聴テクニックよりも
フレッシュなBさんの独り言が
その引き金になることもありえます。

 

まとめたい

 

ただ、ひとつ言えることは、
「どうしよう、困った。。。」だけでは
何も生まないし、
前へは進めません。

裁判所が近ければ調停を、
ADR機関で心当たりがあったらそちらへ、

まずは、問い合わせの電話をしましょう。

どちらもおそらく考えている以上に
丁寧に教えてもらえます

 

やってみなければ始まりません。

 

目的は、

  • 悩み続けることですか
  • 誰かに話しを聞いてもらうことですか
  • 共感してもらうことですか
    それとも、
  • 解決することですか

 

司法書士は、裁判所に提出する文書の
作成を行うことができます

調停を申し立てたい方は、どうぞお気軽に
ご相談ください