遺言書を失くしたら?

遺言書を失くしてしまったら

どうすればよいのでしょう

 

再発行が可能な遺言書と
できない遺言書があります

 

自宅保管の自筆遺言書

 

自筆で作って自宅等で保管していた遺言書
これを紛失したとしたら
これはどう考えても
どうにもなりません

諦めるしかないです

コピーがあっても
それは遺言執行には使えません

同じものが何通かあればよいですが
通常、そのようなことはありません

 

ただ、コピー等はあるのだけど
現物を紛失したが
どうしてもその内容を実現したい
ということであるならば

相続人全員で協議して
その内容を実現することは可能です

あくまで、全員が同意した場合に限ります

 

そもそも遺言書原本があっても
全員が同意すれば

遺言と異なる分割協議をすることは
可能です。

 

ましてや原本紛失となれば
コピーがあっても
法的には遺言書がない状態と
全く同じなので

原則通り、相続人全員での協議が
必要なわけです

 

しかしながら、遺言書コピーによって
故人の意向がはっきりしていて

かつ

相続人全員がその措置に同意するのであれば
遺言内容の実現が可能となります

 

ただし、これはあくまで
財産(不動産、現金、預貯金、株式等)の
分割に関してだけです

相続人全員で遺産分割をしても
遺言書原本がない限りできないことが
いくつかあるのでご注意ください

 

遺言書がないと絶対にできないこと

 

遺言では

  • 相続人の廃除・排除の取り消し
  • 認知
  • 遺産分割の禁止(最大5年まで)
  • 遺言執行者の指定

などが可能ですが

これらの行為については
遺言書がなければ
することができません

相続人間の協議で定めることは
もちろんできないことです

 

念のためですが、遺言書をもってしても
そもそも離婚や離縁等の
身分行為はできません。

生きているときにすべきことでした

 

 

検認調書謄本

 

なお、この紛失が
遺言書検認期日を経てからであると
少々事情が変わってくるかもしれません

検認期日を経たものについては
調書が作成されるので

相続人は検認調書謄本をその家庭裁判所に
請求することができます

遺言書本体のコピーと
検認期日の状況について書かれたものに
さらに書記官の証明文を
合綴したものなのですが

これを登記に際して
検認済の遺言書原本と同列に
扱えるのではないか、という
意見があります

 

微妙。ではないでしょうか

 

少なくとも
これで相続登記が
可能であるという登記先例は
見つかりませんでした

先例がなくても
奇跡的に登記が通ることはよくあるので
何とも言えないですが。

 

実際にこれについては
まだ試したことがないのでわかりませんが

やっぱり微妙ではないでしょうか

 

微妙な案件
(法律・先例・判例等で明示されていないもの)
については

登記所、登記官等、現場の判断次第
というところが多々あるので
一概には言うことは困難です

 

それなら事前に登記官に聞いてみてほしい
とのご要望を受けることもありますが
それもなかなか難しいのです

法務局の事前相談はあくまで
具体的事例についてのみの相談
という位置付けです

仮定の案件や、可能性のハナシは
原則として対応してもらえないのが現状です

 

実際に具体的な案件が生じて初めて
登記相談をし

登記所も内部で協議したりしなかったり
さらに支局での対応が困難であれば
本局へ照会する、ということになるわけです

 

一度、ぜひ試してみたいと思っていますが
通常、遺言書を紛失したら
その時点で諦めてしまって
司法書士まではたどり着かないのでしょう

未だ機会に恵まれません

 

法務局保管の自筆遺言書

 

同じ自筆遺言書でも
法務局保管の遺言書(遺言情報証明書)
だとしたら、その再発行(?)は可能です

これについては
原本が保管されている法務局だけでなく

全ての遺言書保管所で
遺言情報証明書の発行申請が可能です

これは、自宅で保管する遺言書とは異なり
電子データで保存されているので
そのたびに費用はかかりますが
何度でも発行してもらえます
(なので再発行とは言わないようです)

 

ちなみに
どこの法務局でも遺言書の保管業務を
しているわけではありません

基本、法務局の本局か支局です

このあたりだと
茂原支局は保管業務を行っていますが

東金出張所・いすみ出張所では業務外です
千葉地方法務局(本局)は当然やっています

 

なお、遺言書の保管申請可能な法務局は
管轄が定められています
好きな法務局に預けることは
できません
ご注意ください

保管申請ができるのは

  • 本籍地
  • 住所地
  • 不動産所在地

以上のいずれかを管轄する法務局です

 

 

公正証書遺言

 

これは、紛失しても
謄本請求することによって
再発行してもらえます

 

ただし、再発行できるのは
作成した公証役場だけです

再発行を依頼しようとしても
どこの公証役場で作成したものなのか
忘れてしまった場合は

遺言検索制度
(平成元年以降に作成されたものに限ります)によって
作成した役場の検索ができます

最寄りの公証役場から検索手続きを行います
自宅のインターネットでは検索できません
検索は無料です

 

どこで作成したか判明すれば
その作成した公証役場
(つまりそこには原本が保管されている)
でしか発行してもらえないので

そこまで出向くか

或いは、郵送申請もできますが

自分で郵送申請するのではなく
最寄りの公証役場からの郵送申請
ということになります

 

最後に

 

どんなに大事にしていても
紛失することはあります

仕方のないことです

火事や災害や思わぬ事故で
大切にしていた遺言書を
失う羽目に陥った人もあるかもしれません

どう考えても理不尽ですが
これもまた仕方のないことです

 

遺言書の内容次第ではありますが

遺言書ひとつ、分割協議ひとつに
人生の不条理さ 無惨さを
覚えることもあろうかと思います

それも考えようでは
人生の醍醐味なのかもしれないです

 

知った風なことを書いてしまいましたが

 

相続登記のことはどうぞお気軽に
ご相談ください