郵送で登記は可能ですか

郵送で登記をお願いできますか

 

電話で、
「面談しないと依頼できませんか?」との
お尋ねをいただくことがあります

 

そんなことはありません。

状況がわかれば、登記のご依頼は、
郵送でもお電話でも問題ありません。

 

そのときはこんなふうに進行します

リモートで受託

 

  1. 電話で内容をお聞きして、
  2. 必要書類をご案内し、
  3. 当方で作成した委任状その他をご郵送し
  4. そこに本人(たち)が署名捺印して
  5. 各自で揃えて頂いた書類
    たとえば住民票、印鑑証明書などと一緒に
    返送していただきます

 

当方は、当事者の意思の確認ができ次第
申請書を作成して、管轄の登記所に
オンラインで申請、または、
地元であれば直接持ち込む。など。

 

このような感じです

 

電話でもいいですが、近頃はメールで
やりとりすることも、多いです

メールだと、
言い間違いや、聞き違い、失念ということが少なくなります

お互いのやり取りの記録も残るので、私も
もう少しタイピングが上手ならば、迷わず
こちらを選びたいところですが。
本当は、
ファクス(!!)が一番好きですので
ご容赦ください。

また、メールだと、
委任状その他の当方でお作りする書類も
メールでお送りするので、この間の
郵送にかかる時間の節約にもなります

 

メールだけで準備は完了?

 

OKです。と言いたいところですが
いくつかの障害があるため、
現在のところそれは、できません。

 

登記申請といっても色々種類があるので
内容にもよるのですが、基本的に紙の
書類がどうしても必要になります

印鑑証明書、住民票、権利証、戸籍、
委任状、登記原因証明情報など。

 

オンライン申請であれば、申請書は
オンラインで送付するので申請書の紙は
不要です。

印紙も、電子納付(銀行経由で納める)で
行うため、現物は不要です。また、
登記識別情報もメール送付できるので
通知そのものは不要です。

しかし、

その他のものについては、現在のところ
どうしても紙そのものを提出することが
求められています。

印鑑証明書 住民票 権利証 戸籍
委任状 登記原因証明情報など。

署名や印鑑証明書の代わりに電子署名をして
電子証明書を添付する方法もありますが
これは、本人がオンライン申請をする場合に
限られているようで、司法書士が
お客様からの依頼を受けて行う場合は
どうしても紙の書類が必要となります

 

金銭の授受についてはどうするのか

 

金銭の授受には、

・当事者間のものと
・登記の報酬   との2つがあります

 

当事者間でやり取りする金銭

 

・売買であれば、その代金
・それに伴う固定資産税の日割精算金

これは、できれば、次のような順番で
お願いしたいところです。

  1. 私の手元に双方の登記用の書類が整って
    登記が出せる段階になったら、
    買主さんにその旨を連絡します
  2. 買主さんから代金の振り込みをする
  3. 売主さんは、その着金の確認をする
  4. 売主さんは、その連絡を司法書士にする
  5. 登記を申請

 

このように進行すれば大した問題は生じないと思うのですが
なんと、私のところに書類がそろう以前に
売買代金の授受が終わってしまっていることが多いのです

これは、非常に危険だと思います

当事者間に悪意がなかったとしても、
書類がそろうかどうか不確定な間に
代金全額を支払ってしまうのは、
どう考えても危ないです

ただ、支払ったものをいったん返して
やり直して欲しいとまでは言えませんので
払ってしまったものは仕方ないですが。

 

司法書士報酬は?

 

まず、お見積りを提示します
それで続行するということであれば
お手続きをすすめるわけですが、

 

・登録免許税(登記の時に国に納める税金・印紙代)
が高額なときは事前の振込をお願いします

・そうでないとき(当方でお立替できるとき)
お振込みは登記完了後で大丈夫です

 

本人の意思確認はどのように?

 

書類のやりとりは郵便ですませるにしても
面談の必要が生じることもあります

意思の確認については、
電話で普通に話ができる、
本人住所に直接郵送している、等の
必要条件を満たせば、
あえて直接
面談しないこともあります
(司法書士によってポリシーが異なります)

しかし、
病院とか施設に入院入所中であるとかだと
電話で会話することは可能でも
やはり心配なため、というか念のため
直接お目にかからせていただくことが
多いです。

 

また、特に売買の登記ご依頼の方で、
権利証紛失などのご事情があって面談を
ご希望なさる方については、
面談させていただきます

 

権利証紛失していたら?

 

売主が権利証を紛失等している場合は、
ひとつの方法として
司法書士がご本人と面談の上、
写真付きの身分証明書等自動車運転免許証など
拝見して、権利証にかわる書類を作成する
というものがあります(本人確認情報)

これはもう、その手続き上権利証と同様に
扱われるものです。(その一回限り)

なので、

たとえば、

法務局からの本人限定受取郵便での
照会状に本人が実印を押して回答する
など(事前通知)という迂遠な方法
とる必要がありません。

その代わり、
本人確認情報作成には、
別途費用がかかりますし、
司法書士と直接の面談が必要だし、
顔写真付きの公的身分証明書も
必要なわけです。
顔写真付きのものがない場合は、
数種類の公的証明書・住所氏名生年月日記載で
有効期限内のもの

 

その本人確認情報を作成するために
ご本人との直接面談を
ご希望になるわけですが。
お目にかかれればよいというわけでは
ありません。(ココ注意!)

 

面談の時に確認すること

 

  • ご本人が(本人の確認書類が必要)
  • この不動産を
  • 〇〇さんに
  • いくらで、
  • 売り渡す

    以上のことについて、
    その売却と登記の意思を
    確認するために面談をします

また、権利証がない理由も伺います

 

面談はまったく問題ないから、よろしくです
と代理人または、業者さんに言われて
病院または、介護施設をたずねて、まあ、
いわゆる空振りで帰ってきたことが
過去に何度もあります

 

空振り(からぶり)

 

面談して確認したいのは、ざっくり言えば

・登記簿上の所有者とあなたは
同一人物ですか

・この不動産を売却しますか

この2点だけなのですが。

 

からぶり実例

1 「返事はできますよ。問題ないです」
という話でしたが、売主Aさんは、
動けないし話せない。
こちらの言葉も理解できているのか
どうなのかわからず全く意思の疎通が
できない。

たしかに、「はい」は、言えるようです
ただ、質問している私の声が
届いている感じが皆無でした。結果、
お断りしました

2 売主Bさんは私の質問に激しく動揺して
半ば泣き声のような返事を返してきました
付添の人によれば、これは、
「はいわかりました」と言っているそう
なのですが、私には、どうしても
そのようには、聞き取ることができませんでした。申し訳ないですが、お断りしました

3 売主Cさんは、私の質問にきちんと
「はいそうです」と答えてくれました

ですが、ふと、心配になって、別のことを
きいてみたところ、
(NOという返事をすべき質問)
「はい間違いありません」とのこと。

「はい」が言えても
「いいえ」が言えない人は、まずいです。
「いいえ」の意思表示ができない人は
どう考えても意思能力があるとは思えません
残念ですが、こちらもお断りしました。

 

10年くらい前までは求めに応じて
遠方でも(仙台くらいまで)
ご本人面談のために出張していました。
(本人確認情報の制度ができたのは、たしか平成18年)
しかし、上記のようなことが地元で
数回あってからは、
本人の意思確認というのが何をするのか
きちんと、というより、しつこいくらいに
念を押してからお引き受けするようにしています

医師ではないので、
その方が認知症であるとか精神に重篤な問題を抱えているとかいうことを判断したいわけではありません

 

そして念の為ですが、

「売ります」の一言が聞きたいわけでは
ありません。

そういう気持ちでいることをワタシが
確認したいのです。または、最低でも、
「息子に不動産のことは全部まかせているから細かいことは全部息子に聞いてくれ」的な答えがほしいのです

つまり、

自分が何を言っているかを理解していて
その上で、自分が所有する不動産を売る、
ということがどういうことなのかを
わかっているのかどうかが
大事なことだと思うのです。

 

 

耳が遠いので電話での確認は無理、ということで、筆談をするために出向いたこともあります。
しかし耳が遠いだけで何とか話をすることは
可能な方だったため、全く問題なく、
意思の確認を終えました。

 

しかし、売主自身が百万言を費やしたとしてもワタシがそのように確認できなければ、それは、確認不能ということです。
お喋りできればよいというわけではありません。
意思確認どころか、もちろん、
本人確認情報を作成することもできません

 

ちょっときびし過ぎるんじゃないの?
冗談交じりですが(本音か)言われることも
よくあります。

しかし、

これは、

本人の意思に基づかない登記をすることは
本人の不利益につながりかねないためです。

つまり、

そのような不本意な登記を未然に防ぐことで
本人の権利を守るためです。

資格者による本人の意思確認義務は
本人の権利を守るために、司法書士に特に
課せられている義務なので
これを無視することはできません。

ご理解ください

 

個人的には、

ここを売って入院費に充てたいときに、
本人が意思表示が難しいからとか、または
本人に痴呆の気味があるなどで、登記が
不可能なのだがどうしよう。。。

というような場合には、

何とかしてあげられないものか、と
思わないわけではないです。

しかし、

そこまで介入する権限は、司法書士には
ありません。それは、他の職能のすべき
仕事です。 大変に残念なことですが。

ただ、当方は、司法書士にできることをするしかありません

 

都市伝説

 

売主本人が病気とか、痴呆とかによって、
意思の確認ができないときに、便宜、
推定相続人全員からの上申書というか、
確約書を印鑑証明付きで添付してあれば
登記は可能と聞いている。それでやって!
と、複数の方(素人さん)から言われたことがあります

ですがそれは、いわゆる都市伝説です。
忘れてください。
それは、できません。あり得ません。

まあ、どうしてそのようなことが囁かれるようになったかはようくわかるのですが(ニーズがあるから)それは、全くの都市伝説であって、間違っています

 

というわけで、(どういうわけで?)

当方まで出向くのが面倒、人に会いたくない
近所の司法書士には頼めない事情があるので
遠方の司法書士に頼みたい、等の
ご事情のある方は、いえ、ない方も、
どうぞお気軽にご連絡ください。
お待ちしています。